2013/10/31 Category : 未選択 東北大、デング熱感染症の新規病態マーカーを発見 デング熱感染症の新規病態マーカーを発見-危機シグナル分子としてのガレクチン9の役割を提唱-【概要】 東北大学大学院医学系研究科感染病態学分野および東北大学災害科学国際研究所の服部俊夫教授らのグループは、毎年一億人が感染するデング熱感染症の新規病態マーカーを発見しました。本研究は、デング熱患者ではガレクチン9が著明に上昇し、病態の悪化指標と相関することを初めて明らかにした重要な報告です。本研究はサンラザロ病院、香川大学、ハワイ大学、長崎大学との共同研究で、本研究結果はJournal of Clinical Virologyオンライン版に10月27日に掲載されました。【研究内容】 デングウイルス(DENV)感染症(注1)は、蚊媒介感染症で世界の公衆衛生上の大きな問題となっています。例えば、東南アジアで多数の日本人が感染しています。急性DENV感染症の病態は、可溶性炎症因子によることが推測されていました。東北大学大学院医学系研究科感染病態学分野および東北大学災害科学国際研究所の服部教授らのグループは、水溶性のβ-ガラクトシド結合レクチン(注2)であるガレクチン9を世界で最も鋭敏に測定する系を用いて2010年にフィリピンで発症した65名のデングウイルス感染者の血漿中のガレクチン9と29種類のサイトカイン/ケモカイン(注3)を測定しました。急性期ではガレクチン9値はデング出血熱患者で2464pg/ml、デング熱患者で、1407pg/mlで、非デング熱性疾患(616pg/ml)や健康人(196pg/ml)に比べ著明な上昇を示しました(図1)。回復期では、ガレクチン9のレベルが迅速に減少しました。このガレクチン9値はデング熱で病態と相関することが知られているIL-1、IL-8、IP-10、および増殖因子VEGFの値と相関していることが多変量解析でわかりました。また判別分析法では、エオタキシン、ガレクチン9、IFN-α2、MCP-1がデング出血熱の92%、デング熱の79.3%を判別できることがわかりました。これらからデングウイルス感染症のバイオマーカーとしての血漿ガレクチン9の上昇を明らかにし、それがウイルス感染の時の危機シグナル分子の性格を有するとの仮説を提唱しました(図2)。本研究は日本学術振興会基盤A(海外学術調査)、災害科学研究所・特別研究費、米国NIHによってサポートされました。【用語説明】 注1.デングウイルス(DENV)感染症:デング熱とも呼ばれる。患者は、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、はしかの症状に似た皮膚発疹を含む症状を示す。ヤブ蚊によって媒介される。 注2.レクチン:糖鎖に結合するタンパク質の総称。ガレクチンはガラクトースに特異性を示す。 注3.サイトカイン/ケモカイン:細胞から放出され、細胞間情報伝達分子となるタンパク質。白血球を増殖させたり引き寄せたりするなど免疫・炎症反応で機能するものが多い。IL-1、IL-8、IP-10、エオタキシン、IFN-α2、MCP-1など PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword