第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、当社が創製した抗凝固剤(経口FXa阻害剤)エドキサバン(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)の深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発抑制に関する第3相臨床試験(Hokusai-VTE試験)に登録されたがん患者に対するサブグループ解析の結果が、米国・ニューオリンズで開催中の米国血液学会議(American Society of Hematology:ASH)2013において発表されましたので、その概要をお知らせします。
本サブグループ解析は、Hokusai-VTE試験に参加した、がんに罹患している患者(208名)とがん既往歴のある患者(563名)、合計771名を対象に、エドキサバンを1日1回経口投与したときの有効性と安全性をワルファリンと比較したものです。有効性の主要評価項目であるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.7%、ワルファリン群で7.1%であり、エドキサバン群で低値でした(HR 0.53、95% CI 0.28-1.00)。また、安全性に関して、臨床的に重要な出血(重大な出血、もしくは重大ではないが臨床的に重要な出血)の発現率は、エドキサバン群で12.4%、ワルファリン群で18.8%であり、エドキサバン群で低値でした(HR 0.64、95% CI 0.45-0.92)。8,292名の患者を対象としたHokusai-VTE試験では、エドキサバンは1日1回経口投与によりワルファリンに対して、有効性で非劣性、安全性において優越性を示しましたが、がん患者を対象としたこのサブグループ解析においても、Hokusai-VTE試験の全体で見た結果と同様の有効性と安全性が示されました。
がんに罹患している208名の患者におけるVTEの再発率は、エドキサバン群で3.7%、ワルファリン群で7.1%であり(HR 0.55、95% CI 0.16-1.85)、臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で18.3%、ワルファリン群で25.3%でした(HR 0.72、95% CI 0.40-1.30)。
<Hokusai-VTE試験について> Hokusai-VTE試験は、国際共同、無作為化、二重盲検、第3相臨床試験であり、急性症候性の深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)患者、または、肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)患者における症候性静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)の治療および再発抑制に関するエドキサバンを1日1回経口投与したときの有効性と安全性を評価する臨床試験であり、37ヶ国の439の医療機関において8,292人の患者が登録されました。本試験では、実医療を反映して、がん患者を含む広範囲のVTE患者に対し、標準治療法であるヘパリンの初期治療に続き、エドキサバン、または、ワルファリンが、3~12ヶ月間投与されました。 Hokusai-VTE試験の結果については、オランダ・アムステルダムで開催された欧州心臓病学会2013において発表されると共に、New England Journal of Medicineに掲載されました。有効性の主要評価項目であるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.2%、ワルファリン群で3.5%であり、エドキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証されました(HR 0.89、95% CI 0.70-1.13;P<0.001[非劣性])。再発性症候性VTEは、12ヶ月間の試験期間における、再発性症候性のDVTと、非致死性の症候性PEおよび致死性のPEの複合と定義されています。 また、安全性に関して、臨床的に重要な出血(重大な出血、もしくは重大ではないが臨床的に重要な出血)の発現率は、エドキサバン群で8.5%、ワルファリン群で10.3%であり、エドキサバンのワルファリンに対する優越性が示されました(HR 0.81、95% CI 0.71-0.94;P=0.004[優越性])。 本サブグループ解析は、Hokusai-VTE試験に登録された患者のうち、低分子ヘパリンの長期投与が予定されていない、がんに罹患している患者(208名)とがん既往歴のある患者(563名)、合計771名を対象に実施されたサブグループ解析です。低分子ヘパリンの長期投与が予定されている患者は、本試験から除外されました。