第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、当社が創製した抗凝固剤(経口FXa阻害剤)エドキサバン(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)の深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発抑制に関する第3相臨床試験(Hokusai-VTE試験)において、エドキサバンは、1日1回経口投与によりワルファリンに対して有効性で非劣性、安全性において優越性を示し、所期の目的を達成いたしましたので、その概要をお知らせします。なお、本試験の結果につきましては、オランダ・アムステルダムで開催中の欧州心臓病学会2013において発表されると共に、New England Journal of Medicineにオンライン掲載されました。
本試験では、DVTまたはPEの患者8,240人がエドキサバン(4,118人)またはワルファリン(4,122人)を投与されました。有効性の主要評価項目であるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.2%、ワルファリン群で3.5%であり、エドキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証されました(HR0.89、95% CI 0.70-1.13;P<0.001[非劣性])。また、安全性に関して、臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で8.5%、ワルファリン群で10.3%であり、エドキサバンのワルファリンに対する優越性が示されました(HR 0.81、95% CI 0.71-0.94; P=0.004[優越性])。
本試験では1日1回60mgのエドキサバンが投与されましたが、腎機能障害のある患者、低体重の患者、および、p-糖タンパク質阻害剤を併用している患者には、30mg、1日1回が投与されました。エドキサバン30mg投与によるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.0%、ワルファリン群で4.2%であり(HR0.73、95% CI 0.42-1.26)、エドキサバン60mg投与患者を含む全体で解析した結果と同様でした。また、臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で7.9%、ワルファリン群で12.8%であり、ワルファリン群に対しエドキサバン群で有意に低値でした(HR 0.62、95% CI0.44-0.86)。
DVT患者におけるVTEの発現率は、エドキサバン群3.4%、ワルファリン群3.3%でした(HR 1.02、95% CI 0.75-1.38)。一方、PE患者におけるVTEの発現率は、エドキサバン群2.8%、ワルファリン群3.9%でした(HR 0.73、95% CI 0.50-1.06)。さらに、重症PE患者におけるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.3%、ワルファリン群で6.2%であり、エドキサバンはワルファリンと比較し重症PE患者におけるVTEの再発リスクを48%低減させました(HR 0.52、95% CI 0.28-0.98)。