政府は、日本経済再生の第三の矢として「新たな成長戦略(日本再興戦略)」を示し、その一環として、2020年に外国企業の対日直接投資残高を現在(2012年末時点17.8兆円)の2倍の35兆円に拡大する目標を掲げました。
しかしながら、外資系企業が日本国内で事業を展開するには、インフラ施設面において様々な難しさがあります。事業活動のベースとなる事業所や営業拠点を立ち上げるには、全体計画の作成から、土地・建物・オフィス探し、建屋やレイアウトの仕様の確定、各専門業者への発注と全体調整など膨大かつ煩雑な業務を執り行わなければなりません。
特に、国内における各種規制の遵守が外資系企業にとって負担となっており、経済産業省の外資系企業動向調査(2011年調査)によると、日本で事業展開する上での阻害要因として調査に協力した外資系企業のうちの32.8%が「行政手続きの複雑さ」をあげています。
さらに、親会社が定める施設インフラ標準やEHS基準(EHS : Environment, Health and Safety 環境・衛生・安全)に基づいて、資機材等の具体的な要件を指定されることがあります。資機材の中には国内仕様ではないものがあり、入手に時間がかかり工期遵守が難しくなる場合があります。また、親会社のリスクマネジメント基準によって、例えば防火対策において国内標準以上の対応を求められることがあります。これら様々な問題に対処するためには高度な専門家が必要ですが、外資系企業がそのような人材を確保することは難しく、また、自社の人材は中核領域に限定したいと考える企業が多く見受けられます。