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京大、細胞内温度センサーの開発と生体の恒常性を担う熱産生機構の可視化に成功

細胞内温度センサーの開発と生体の恒常性を担う熱産生機構の可視化に成功


 森泰生 地球環境学堂教授(工学研究科合成・生物化学 専攻両任)、清中茂樹 同准教授らの研究グループは、遺伝子工学的な手法を用いて、細胞内および細胞内小器官の温度計測を可能とする温度センサータンパク 質を開発し、世界で初めて生体の恒常性を担う熱産生機構の可視化に成功しました。

 この研究成果が、2013年10月13日13時(米国東海岸標準時)に、「Nature Methods」誌電子版に掲載されました。


<概要>
  恒温動物の体内は、外気温の変化によらず常に37度付近に保たれています。従来の生物学では、すべての生命現象は生体(細胞)温度が37度付近であるとい う前提で研究されてきました。一方、核やミトコンドリアをはじめとする細胞内小器官は、複雑な化学反応をともなう固有の機能を担っており、すべての細胞内 小器官の温度が均一であるとは考えにくいものです。仮に細胞内温度に不均一性が存在するなら、温度の不均一性によって生体機能が制御されている可能性があ ります。しかし、これまでに有用な細胞内の温度計測法は存在せず、その可能性に関して全く評価されていません。細胞内の局所で発生した熱はすぐに拡散して しまいます。そのため、細胞内の熱産生および温度分布を計測するためには、まさに熱が産生されている場所(細胞内小器官)で温度計測を行う必要がありまし た。

 そのような背景のもと、本研究グループは、遺伝子工学的な手法を用いて、細胞内および細胞内小器官の温度計測を可能とする温度セン サータンパク質(thermosensor GFP、tsGFP)の開発に成功しました(図1)。tsGFPは、サルモネラ菌に存在する温度感知タンパク 質として知られるTlpAを緑色蛍光タンパク質(GFP)と適切に融合することで得ました。TlpAは、単量体と2量体形成との遷移が37度付近で鋭敏か つ可逆的に起こります。よって、TlpAを融合したtsGFPは、37度付近の温度変化を鋭敏に感知し、その結果、蛍光の変化が起こります(図1、図 2)。また、tsGFPは、遺伝子でコードされるために、非侵襲的に生細胞内・組織内に導入できます。細胞内小器官に標的できるシグナル配列を付与するこ とで、各々の細胞内小器官における温度計測も可能となります。


 ※図1、2は添付の関連資料を参照


 温 度センサーtsGFPを用いることで、熱産生組織として考えられていた褐色脂肪細胞からの熱産生の可視化に成功しました。従来は、酸素消費などの間接的な 状況証拠から褐色脂肪細胞が熱産生に関わると考えられてきましたが、本研究ではミトコンドリアに発現する温度センサー(tsGFP1-mito)を用いる ことで、褐色脂肪細胞内のミトコンドリアから熱産生が行われていることを初めて直接的に示しました(図3)。また、小胞体に発現する温度センサー (tsGFP1-ER)を用いることで、非ふるえ熱としての寄与で意見が分かれていた筋細胞の小胞体からの熱産生の可視化にも成功し、筋細胞も熱産生を行 うことを直接的に証明しました(図4)。これらの熱産生細胞は、肥満が問題となっている欧米を中心に、新たな肥満解消方法の標的として着目されています。 なぜなら、体内のエネルギーを熱の発散として消費できれば、新たなダイエットになるからです。しかし、これまでは熱産生組織からの熱産生を直接的に評価で きる方法が皆無であり、熱産生を促す創薬の開発は困難とされてきました。一方、本研究成果(細胞内温度センサーの開発)は、熱産生を直接的に評価できる方 法となり得るので、本発表により肥満解消薬の開発が加速すると期待されます。


 ※図3、4は添付の関連資料を参照


  また、本研究グループが開発した温度センサーは、細胞内のミトコンドリアに温度分布が存在することを明らかにしました(図5)。ミトコンドリアの温度を可 視化できるtsGFP1-mitoをHeLa細胞に発現させることで、ミトコンドリアの温度が不均一であることを確認しました。興味深いことに、ミトコン ドリア内の温度分布はATP合成と関連していました。これらの結果は、細胞内の温度の不均一性が細胞内機能と関連する可能性を示唆します。すなわち、本研 究成果は、細胞内には温度の不均一性が存在することを示し、その不均一性が生体機能と関連することを示した世界初の発見と言えます。


 ※図5は、添付の関連資料を参照


<書誌情報>
 [DOI]http://dx.doi.org/10.1038/nmeth.2690

  Shigeki Kiyonaka,Taketoshi Kajimoto,Reiko Sakaguchi,Daisuke  Shinmi,Mariko Omatsu-Kanbe,Hiroshi Matsuura,Hiromi Imamura,Takenao  Yoshizaki,Itaru Hamachi,Takashi Morii & Yasuo Mori
 Genetically encoded fluorescent thermosensors visualize subcellular thermoregulation in living cells
 Nature Methods,published online 13 October 2013.

 ・京都新聞(10月14日26面)および日刊工業新聞(10月14日14面)に掲載されました。
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