2013/11/01 Category : 未選択 北陸先端大、スマホに「つぶやく」だけで看護・介護の記録などができるシステムを開発 知識科学研究科の内平教授ら、医療・介護サービス向けスマートフォンに「つぶやく」だけで、記録・連絡・情報共有とログ解析による可視化が可能なシステムを開発 <ポイント> ・スマートフォンに「つぶやく」だけで看護・介護サービスの気づきを簡単に収集 ・収集された「つぶやき」は、ケアスタッフの記録・連絡・情報共有・業務分析に活用 ・介護施設における試行評価でケアの品質が向上することを確認 北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST)(学長 片山 卓也、石川県能美市)知識科学研究科の内平直志教授を研究代表者とする研究チームは、看護・介護職が、ケアの現場でスマートフォンに「つぶやく」ことで看護・介護の記録や他職員へのメッセージの配信ができるシステム、さらに、つぶやいた音声と位置情報のログを解析・評価することができるシステムを開発し、実際の介護現場で試行評価を行いました。 高齢化が進み医療・介護への負担が高まる中、医療・介護における間接業務の効率化が急務となっています。現状では、医療・介護職はケア中に紙片や手の甲にメモをとる、あるいは記憶し、ケアの終了後に看護・介護記録を作成しています。そのため、記録の情報量が限られたり、転記に手間がかかるなど、記録の質と効率向上への強いニーズがありました。本プロジェクトでは、看護・介護記録などの間接業務のITによる質と効率の向上が必要と考えました。 本プロジェクトでは、スマートフォンに「つぶやく」だけで、ケア中の観察内容・気付きを記録・配信し、情報共有を可能とするシステムを開発しました。また、音声つぶやきと位置情報のログを解析・評価することにより、看護・介護職の動線を可視化して現状把握し、業務の課題を発見できるシステムを開発しました。 介護施設における試行評価では、開発したシステムを使用することで介護記録の向上、ケアの品質向上に寄与することを実際の効果として確認しました。 音声つぶやきによりサービス中の気づきの収集と活用(記録・連絡・業務分析)を同時に支援するシステムは世界初で、看護・介護だけでなく接客や保守などの幅広いサービスに適用可能な基盤技術として期待されます。 今回開発したシステムは、独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センターの「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」の「音声つぶやきによる医療・介護サービス空間のコミュニケーション革新」プロジェクト(研究開発実施者:JAIST、株式会社東芝、清水建設株式会社、岡山大学等)により開発されました。 本開発成果は、以下の研究助成によって得られました。 事業名: 開発課題名:独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」 「音声つぶやきによる医療・介護サービス空間のコミュニケーション革新」プロジェクト チームリーダー:内平直志(北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 教授) 研究開発期間:平成22~25年度 <開発の背景と経緯> 近年、高齢化が進み医療・介護への負担が高まる中、看護・介護における記録や連絡などの間接業務の効率化が急務となっています。現在、医療・介護職の方はケア中に紙片や手の甲にメモをとる、あるいは自身の記憶に頼る、などによってケアの終了後に看護・介護記録を作成しています。しかし、記憶や断片的なメモによることから、記録の情報量が限られたり、転記に手間がかかるなど、記録の質と効率向上に強いニーズがありました。本プロジェクトは、看護・介護記録や連絡などの間接業務をIT化し、質と効率を高めることを目指しました。 <今回の成果> 北陸先端科学技術大学院大学は、本プロジェクトの全体を統括するとともに、東芝および清水建設が開発したシステムに基づき、気づきの収集と活用の理論およびシミュレーションモデルを構築しました。岡山大学は、サービスを評価する手法を開発しました。 東芝は、スマートフォンにつぶやくだけで、そのつぶやき内容を自動的に分類・記録・配信し、情報共有を可能にするシステム開発しました。看護・介護職の方がスマートフォンにつぶやいた音声に、いつ、どこで、だれが、どんなことを、というタグを自動添付し、タグの内容に応じて「記録」か、他職員に伝えたい「連絡」か、を自動分類します。記録の場合は、タグの内容に応じて整理した形で掲示板に掲載し、連絡の場合は、必要な範囲の他職員のスマートフォンでリアルタイムに再生されます。スマートフォンにつぶやくだけで行えるため、ケアの現場ではきちんと記録をつけることが困難な看護・介護の方でも負担無く利用することができます。 清水建設は、看護・介護職のつぶやいた音声と位置情報のログを解析・評価するサービス可視化システムを開発しました。複数の看護・介護職の動線を平面図に示し、ケア中に「大変」や「依頼」などがつぶやかれた場面を再現して、看護・介護職が自分の業務を客観的に振り返り課題を発見して対応策を検討するときに有効利用ができます。ベテランと新人の動線順序を比較することで、新人の教育にも活用できます。試行評価を行った都内の介護施設の看護・介護職から「動きがうまくいかなかったときに、その原因を振り返ることができ、スキルアップにつながる」、新人教員に関しては、「上手な人のパターンや判断内容を教えられる」などの効果を確認しました。 <今後の展開> 今回開発した気づきの収集と活用するシステムは、看護・介護サービスだけでなく、接客サービスにも適用可能な汎用的なプラットフォームです。特に、日本が得意とする旅館や料亭を含むアミューズメント施設における「おもてなし(ホスピタリティ)」サービスでは、顧客の状態や真のニーズを推し量る「気づき」は本質であり、看護・介護サービスとも共通点が多いと考えます。JAISTでは、「気づき」のモデル、気づき支援プラットフォームおよびその応用を「気づき学」として発信し、日本発のサービス科学の発展に大きく貢献していきます。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword