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帝国データバンク、9月の全国企業倒産集計を発表

全国企業倒産集計


<2013年 9月報>
 ・倒産件数は817件、2ヵ月連続の前年同月比減少
 ・負債総額は1895億800万円、3ヵ月ぶりの前年同月比増加


 倒産件数   817件
 前年同月比 ▲4.1%
 前年同月   852件
 前月比    +3.5%
 前月      789件

 負債総額   1895億800万円
 前年同月比 +6.7%
 前年同月   1776億500万円
 前月比    +15.9%
 前月      1635億7000万円


〔件数・負債総額の推移〕

 ※添付の関連資料を参照


■件数

・ポイント 2ヵ月連続の前年同月比減少
 倒産件数は817件(前月789件、前年同月852件)で、前月比は3.5%の増加となったものの、前年同月比は4.1%の減少となり、2ヵ月連続で前年同月を下回った。今年最少を記録した前月(789件)に次いで、今年2番目の低水準となった。

・要因・背景
 1.需要増加が続く建設業が12ヵ月連続の前年同月比減少となったほか、製造、サービスの2業種も2ヵ月連続で前年同月を下回る
 2.北海道(17件)が前年同月比54.1%の大幅減となるなど、5地域で前年同月比2ケタ減


■負債総額

・ポイント 3ヵ月ぶりの前年同月比増加
 負債総額は1895億800万円(前月1635億7000万円、前年同月1776億500万円)で、前月比は15.9%、前年同月比も6.7%の増加となり、3ヵ月ぶりに前年同月を上回った。

・要因・背景
 1.負債トップは、高層ビル開発事業の合同会社長堀橋開発(東京都)で148億7600万円
 2.大型倒産の沈静化が続き、負債50億円以上の倒産は21ヵ月連続で1ケタにとどまる


■業種別

・ポイント 7業種中5業種で前年同月比減少
 業種別に見ると、建設業(194件、前年同月比15.7%減)、サービス業(139件、同10.9%減)など7業種中5業種で前年同月を下回った。一方、卸売業(133件、同19.8%増)、運輸・通信業(43件、同19.4%増)の2業種は前年同月を上回った。

・要因・背景
 1.建設業…公共工事や住宅着工戸数の増加を受け、土木工事(37件、前年同月比30.2%減)、木造建築工事(25件、同24.2%減)、管工事(5件、同54.5%減)などで減少
 2.サービス業…広告、ソフトウエア開発、人材派遣、建築設計・測量などで減少目立つ


■主因別

・ポイント 「不況型倒産」の構成比84.0%
 主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は686件(前月650件、前年同月722件)となった。構成比は84.0%(前月82.4%、前年同月84.7%)で、前月を1.6ポイント上回ったものの、前年同月は0.7ポイント下回った。

・要因・背景
 1.「金融円滑化法利用後倒産」は61件判明、2013年5月(60件)を上回り過去最多を更新
 2.「不況型倒産」では、建設業の構成比が前年同月比4.8ポイントの減少となった一方、卸売業は食料品や繊維・衣料品など中心に同3.6ポイントの増加で、業種別の増加トップ

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計


■規模別

・ポイント 負債5000万円未満の小規模倒産、前年同月比12.3%増
 負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は437件で、前年同月比12.3%の増加となり、構成比は53.5%と11ヵ月連続で過半数を占めた。一方、負債100億円以上の倒産は5件発生した。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満の合計は467件、構成比は57.2%を占めた。

・要因・背景
 負債5000万円未満では、機械器具(13件、前年同月5件)や繊維・衣料品(8件、同1件)など中心に製造業(57件、前年同月比72.7%増)が大幅増加


■地域別

・ポイント 北海道、四国など5地域で前年同月比減少
 地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を下回った。なかでも北海道(17件、前年同月比54.1%減)、四国(7件、同53.3%減)の2地域は前年同月比50%超の大幅減少となった。一方、近畿(244件)は前年同月比41.9%の大幅増加となったほか、東北(30件、前年同月比3.4%増)、中国(40件、同5.3%増)の2地域も前年同月を上回った。

・要因・背景
 1.北海道は、土木・建築工事を中心とした建設業のほか、製造、小売などで減少が目立つ
 2.近畿は、食料品や繊維・衣料品などの製造業(37件、前年同月比76.2%増)が大幅増加


■景気動向指数(景気DI)

・景気DIは46.1、戦後最長の拡大期だった2006年当時まで上昇
 2013年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.5ポイント増の46.1となり、3ヵ月連続で改善した。いざなぎ景気を超える戦後最長の拡大期にあった2006年10月(46.3)以来、6年11ヵ月ぶりの水準。
 9月は震災復興や国土強靱化による耐震工事などが進んだほか、2020年東京五輪開催決定というニュースも企業マインドの改善を促した。また、マンションなど住宅への駆け込み需要は関連分野の改善につながり、『建設』『製造』『運輸・倉庫』など全10業界(51業種中43業種)が改善した。

・「大企業」と「小規模企業」が過去最高を更新、アベノミクス効果が中小零細にも波及
 『建設』は3ヵ月連続で改善し過去最高を更新した。公共工事に加えて民間設備投資、住宅関連、太陽光発電の設置工事、防災・減災工事など、官公庁のみならず民間からの需要増加が大幅な改善要因となった。また、規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」ともに改善し、「小規模企業」が「中小企業」を初めて上回った。地域別では全10地域が3ヵ月連続で揃って改善し、『北海道』『東北』『九州』の3地域は2ヵ月連続で過去最高を更新した。とりわけ『北海道』は全10地域中第1位となり、初めて判断の分かれ目となる50を超えた。
 「大企業」と「小規模企業」がともに過去最高となるなどアベノミクス効果が中小零細企業にも波及し、国内景気は本格的に上昇している。


<今後の見通し>

■倒産件数は4年連続で前年同期比減少、負債総額は3年ぶりの前年同期比増加
 2013年度上半期の倒産は5320件で、前期を0.9%上回ったものの、前年同期を2.2%下回り、4年連続の前年同期比減少となった。業種別で、建設業と不動産業がともに前年同期比2ケタ減少となったことが大きい。一方、負債総額は1兆7554億7300万円で、前期を43.7%、前年同期を2.8%ともに上回り、3年ぶりの前年同期比増加となった。カブトデコム(負債5061億円)など2社が負債1000億円以上を抱え倒産したため、負債総額が膨れあがった。


■原燃料・材料価格値上げは、2013年度下半期も続く見込み
 シリアの混乱が一服し原油先物相場が落ち着いたとはいえ、9月末時点の軽油価格は138.0円/L(資源エネルギー庁)と、1年前と比べ10円程度高い水準で推移していることから、運輸業者の収益が燃料費によって圧迫される状況が続いている。これは、倒産件数からも裏付けられており、2013年度上半期の運輸業の倒産は235件発生し、前期を2.6%、前年同期も19.3%ともに上回った。景気回復とともに物流量の増加が見込めるが、中東諸国の情勢次第では原油価格が再上昇する可能性があるなど、軽油価格値上がりという燃料費リスクはいまだ大きい。
 もっとも、費用負担増加により収益性が乏しい企業の淘汰が懸念されるのは、運輸業だけではない。2013年度上半期の倒産件数が前期比、前年同期比ともに増加した飲食料品関連業者も厳しい。「食料品」の販売額が2012年3月から15ヵ月連続で前年同月割れを記録(日本チェーンストア協会)するなど、飲食料品小売業者では値引き競争が激しさを増している。そのなかでも、仕入れ価格は値上がりする一方だ。輸入麦の政府売渡価格が5銘柄平均で4.1%引き上げられるのに伴い、業務用小麦粉が値上げされるほか、清酒や牛乳なども数%の値上げが実施される。値上げによる買い控えなど消費者に対し値上げが難しいケースでは、小売業者の収益率は低下するであろう。また、小売業者に対し、卸売業者やメーカーがどこまで価格転嫁できるかも不透明。9月の飲食料品卸売業者の倒産(43件)が前年同月比79.2%の大幅増加となったように、飲食料品関連業者の倒産増加が目立ち始めており、警戒感が高まっている。


■「金融円滑化法利用後倒産」が過去最多を記録するなか、消費税率引き上げ
 「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するため」、安倍首相は来年4月1日に消費税率を現行の5%から8%へ引き上げると発表した。未来の日本のための財政再建の一方で、目先の中小零細企業の経営への影響が懸念される。1997年に消費税率を3%から5%に引き上げた際には、金融不安やアジア通貨危機が重なったとはいえ、駆け込み需要の反動減による売上不振や、増税分の価格転嫁が難しく収益性低下に悩まされた小売業の倒産件数が、1997年度から2000年度まで4年連続で前年度比増加となった。今回は「消費税の円滑・適正な転嫁も大変重要な課題」と安倍首相が述べ、「消費税転嫁対策特別措置法」も同日施行された。過去の経験からして、価格転嫁が進まなければ、経営状況が悪化する小売業者が続出するであろう。
 また、9月の「金融円滑化法利用後倒産」が61件判明し、過去最多を記録したことには注目しなければならない。同倒産は、返済猶予を受けているにも関わらず経営改善が進まなかった企業の象徴であり、その増加は景気の先行きの期待感ほど中小企業を取り巻く環境は改善していないことの裏付けである。金融庁は「平成25事務年度監督方針」に「金融機関として、中小企業の経営改善・体質強化の支援を本格化させる重要な1年」と明記した。しかし、金融機関から継続的な支援を受けたとしても、再建計画が実行できずに破綻する企業や、計画が立てられずに返済を止めていたあげく破綻する企業などが散見される。原燃料・材料価格高騰や消費税増税に際し価格転嫁問題を抱えるなか、どれだけの企業が再建を果たすことができるだろうか。2013年度下半期も倒産増加懸念が払拭できない状況は続く。

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