2013/11/16 Category : 未選択 東大、腸内連鎖球菌由来の回転分子モーターV1の動きを1分子レベルで観察することに成功 回転分子モーターV1の動きを1分子毎に観察:構造が類似するF1とは異なるユニークな回転特性が明らかに1.発表者:飯野亮太(東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻 講師) 野地博行(東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻 教授)2.発表のポイント: [1]腸内連鎖球菌由来の回転分子モーターV1の動きを1分子レベルで観察することに成功した。 [2]V1(◇)は構造が類似する回転分子モーターF1とは異なる回転特性を持つことが明らかとなった [3]V1とF1(◇)の詳細な比較により、回転分子モーターの共通機構の解明に繋がると期待される。 ◇「V1」・「F1」の正式表記は、添付の関連資料を参照3.発表概要: すべての生物は、アデノシン3リン酸(ATP)の加水分解で得られるエネルギーを用いて生命活動を維持しており、ATP加水分解酵素の仕組みを解明することは生命現象を理解する上で重要である。ATP加水分解酵素には、V型と呼ばれる生体膜を介したイオンの濃度差を調整する膜タンパク質がある。V型ATP加水分解酵素は親水部位のV1部位と細胞膜に埋め込まれたVo部位から構成される。V1はATP加水分解のエネルギーを利用して回転するナノスケールの回転分子モーターである。V1の回転運動はこれまで、好熱菌Thermus thermophilus由来のV1(TtV1(◇))で観察されており、その特性は構造が類似するF型ATP合成酵素の親水部位であるF1とは異なることが示されていた。V1とF1の比較は、回転分子モーターに共通な機構を理解する上で重要であるが、TtV1以外のV1の回転観察はこれまでに行われておらず、V1特有の回転特性は明らかでなかった。 今回、東京大学大学院工学系研究科の飯野亮太講師、野地博行教授のグループは、大学院生の皆川慶嘉氏、学術支援職員の原舞雪氏、千葉大学の村田武士准教授、中央大学の上野博史助教らと共に、腸内連鎖球菌Enterococcus hirae由来のV1(EhV1(◇))の回転運動を、1分子レベルで分子を直接観察する技術によって初めて観察した。EhV1の回転特性はTtV1のそれによく似ており、F1とは異なっていた。 本成果により、V1とF1の回転特性の違いが明らかとなった。今後、V1とF1を詳細に比較することで、回転分子モーターに共通な作動機構が明らかにされると期待される。なお、本研究で得られた成果はJournal of Biological Chemistry誌の表紙に採用され紹介された。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword