本研究では国内の自己免疫性神経疾患患者の血清を網羅的に解析することにより、LGI1自己抗体を高値かつ単独で有するほぼ全ての患者さんが辺縁系脳炎と診断されていたことを見出しました。さらに、LGI1自己抗体がLGI1とその受容体であるADAM22との結合を阻害することにより、脳内の興奮性シナプス伝達の大部分を担うAMPA受容体機能を低下させることを突き止めました(図3)。AMPA受容体を介したシナプス伝達の制御機構は記憶、学習の根幹を成すと考えられていることから、LGI1自己抗体によるAMPA受容体機能制御の破綻は辺縁系脳炎の記憶障害やてんかん症状を引き起こすと考えられます。本研究成果は米国の神経科学誌(Journal of Neuroscience)に掲載されます(2013年11月13日号)。