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富士通研究所、電力効率を実現する送信電力増幅器の回路技術を開発

業界最高レベルの電力効率を実現する送信電力増幅器の回路技術を開発
携帯電話基地局などの高周波用無線装置の低消費電力化が可能に


 株式会社富士通研究所(注1)は、携帯電話基地局などの高周波用無線装置に使われる送信電力増幅器において、業界最高レベルの電力効率(出力電力と全消費電力の比率)を実現する回路技術を開発しました。

 近年、スマートフォンなどの普及により、携帯電話基地局の数も年々増加しています。一般的に基地局などの高周波無線装置の消費電力は大きく、中でも送信信号を増幅するために用いられている送信電力増幅器は最も消費電力が大きいため電力効率の改善が求められていました。今回、送信電力増幅器にアウトフェージング方式(注2)を適用し、小型で低損失な合成回路と、デジタル信号処理による高精度な位相誤差補正技術の開発により、送信時に高い電力効率となる割合を、従来の約65パーセント程度から95パーセント以上に拡張しました。またピーク出力電力100ワットの送信増幅器を試作し、送信時の平均電力効率を従来の50パーセントから70パーセントに向上(注3)することができました。

 本技術により、携帯電話基地局などの高周波無線装置の低消費電力化が図れます。


 本技術の詳細は、10月24日(木曜日)に東北大学(仙台市)で開催される電子情報通信学会マイクロ波研究会で発表予定です。


<開発の背景>
 近年、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の普及により、携帯電話基地局の数も年々増加しています。一般的に携帯電話基地局などの高周波用無線装置は消費電力が大きく、中でも送信信号を増幅するために用いられている送信電力増幅器は最も消費電力が大きい回路です。したがって、送信電力増幅器の低消費電力化は無線装置全体の低消費電力化に非常に効果があり、環境負荷低減などの面からも要求が強まってきています。


〔図1 携帯電話基地局の構成イメージ図〕

 ※添付の関連資料を参照


<課題>
 送信電力増幅器は一般的に出力振幅に応じて電力効率が変動するため、広い出力範囲で高い電力効率を実現することが困難でした。例えば、現在の携帯電話基地局で用いられている送信電力増幅器では、送信信号全体に占める電力効率が高い出力範囲の割合は約65パーセントにとどまっていました。

 そこで、広い出力範囲で電力効率を高める方式として知られているアウトフェージングと呼ばれる方式の採用を検討しました。この方式は、まず送信信号を振幅が一定で位相が異なる2つの信号に分離します。それらの信号を増幅素子の電力変換効率が高い動作範囲で増幅し、その後、合成回路でベクトル合成して再生します(図2)。しかし、合成回路の損失や信号再生の際の位相差に対する要求精度の面から、現在は高周波無線通信用途には使われていませんでした。


〔図2 アウトフェージング方式の動作原理〕

 ※添付の関連資料を参照


<開発した技術>
 今回、送信電力増幅器にアウトフェージング方式を適用し、小型低損失な合成回路と、デジタル信号処理による高精度な位相誤差補正技術の開発により、送信信号全体に占める電力効率が高い出力範囲を従来の約65パーセントから95パーセント以上に拡張しました。またピーク出力電力100ワットの送信増幅器を試作した結果、送信時の平均的な電力効率も従来の50パーセントから70パーセントに向上することを確認しました。開発した技術の特徴は以下の通りです。

 1.小型低損失な合成回路
  2つの増幅素子が同時に動作している場合の出力負荷インピーダンスと電力効率の関係を正確に解析することにより、従来に比べ合成回路の線路長を短縮することができました。線路が短くなるため、合成回路の損失を低減し、かつ広帯域化が図れます。

 2.デジタル信号処理による高精度な位相誤差補正技術
  入力側の信号分離をデジタル信号処理で行い、また合成回路の出力誤差を検出しデジタル信号処理部へフィードバックすることで、高い精度で位相差を補正して信号を正確に再生できるようにしました。


〔図3 今回開発したアウトフェージング方式の構成〕
〔図4 従来方式との電力効率比較〕

 ※添付の関連資料を参照


<効果>
 今回開発した技術を用いることで、携帯電話基地局などの高周波無線装置の低消費電力化が図れます。例えば6万台の携帯電話基地局無線部のRRH(Remote Radio Head)に導入した場合、2650t-CO2/年の削減効果(注4)が期待できます。


<今後>
 富士通研究所では、今後、本技術を適用できる周波数や出力などの範囲を広げ、実際の無線システムに適用できるように性能を向上させていきます。携帯電話基地局などの無線装置の要求条件に合うように開発を進め、2015年の製品適用を目指します。


<商標について>
 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上


「注釈」
 注1 株式会社富士通研究所:
     代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
 注2 アウトフェージング方式:
     アウトフェージング方式は1935年にフランスの Henri Chireixによって発表された方式で、当時はAMラジオ放送に使われていた。ロードモジュレーション(Load modulation:負荷変調)方式とも呼ばれている。
 注3 送信時の平均電力効率を従来の50パーセントから70パーセントに向上:
     ピーク電力と平均電力の比(PAPR: Peak to Average Power Ratio)が7dB(約5倍)の場合。
 注4 2650t-CO2/年の削減効果:
     総務省報道資料「3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000104.html)」より700MHz帯に新設される屋外基地局数の各社計画値を参考にして推定。
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