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東北大、東日本大震災後の鳴子火山地域の沈降を実地測量で確認

東日本大震災後の鳴子火山地域の沈降を実地測量で確認



<概要>
 ・東北大学学生による水準測量で鳴子火山地域の沈降を確認
 ・大地震後の東北地方の東側沈下傾向とは逆の西側沈下
 ・大地震後に、地殻に加わる力が変化したことが原因か
 ・大地震に伴う火山噴火の可能性もあり今後の観測が必要
 参考ホームページ
 http://www.geosociety.jp/faq/content0365.html

 平成25年8月19日~25日にかけて行われた東北大学理学部地球惑星物質科学科3年生の夏季フィールドセミナー(通称:進級論文、野外地質調査実習を主とする)において、東北大学東北アジア研究センターの後藤章夫助教が指導した学生4人(杉山賢一、塚本雄也、藤田和果奈、渡辺慶太郎)のグループが、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震後の地殻変動を実地に解明するため、宮城県北西部の大崎市池月~鳴子間の国道47号線沿いの約10kmの区間の水準測量を実施した(図1)。地震の2年前の平成21年に実施された国土地理院の測量結果と比較したところ、地震による地殻変動は日本海側(西)から太平洋側(東)に向かって沈降量が大きくなるとされる東北地方全体のGPS測量の結果[1]に反し、測線上では西側ほど沈降量が大きいという全く逆の結果が出た(図2)。同様の結果は地震の5ヶ月後の平成23年8月に5人の学生(小林諒平,高畑明拓,原永実,松岡萌,渡邉虹水)が行った測量でも得られている。今回の測量によって、この測線上では西側ほど沈降していることが確実になり、さらに,この沈降が地震の2年半後の現在も進行していることが明らかになった。また、この結果には、川渡(かわたび)温泉より西の鳴子火山のカルデラ地域に入ると、沈降量が急に増大することが明瞭に示されている。沈降量は最大16cmに達し、測量誤差(数mm程度)をはるかに越える。

 一方、最近発表された論文によると[2,3]、東北地方の中央を南北に貫く火山帯では、東北地方全体の東側ほど沈降量が大きくなる傾向とは別に、主な火山の周辺で局地的な沈降が見られることが,人工衛星のレーダーデータ解析から見出されている。これは平成23年の地震によって東北地方の地殻に加わる力が東西方向の圧縮力から張力に反転し、火山のカルデラ構造の内部が沈降したためと考えられる。このように、今回実地の水準測量によって捉えられた池月~鳴子間で西側が沈降する運動は、東北地方全体の東側が沈降する傾向とは逆であるが、人工衛星のレーダーデータ解析から検出された火山の周辺における大地震後の地殻変動(沈降運動)とは矛盾しない。世界のマグニチュード9以上の大地震では、数年~数10年の時間差で震源域周辺の火山が噴火する事例が複数発生しており、今後の火山周辺の地殻変動の推移に注意する必要がある。

<参考文献>
 [1]http://www.gsi.go.jp/common/000059674.pdf
 [2]Ozawa,T.,and Fujita,E.(2013),Local deformations around volcanoes associated with the 2011 off the Pacific coast of Tohoku earthquake,J.Geophys.Res.Solid Earth,118,390-405,doi:10.1029/2011JB009129.
 [3]Takada,Y.and Fukushima,Y.(2013),Volcanic subsidence triggered by the 2011 Tohoku earthquake in Japan,Nature Geoscience,6,637-641,doi:10.1038/ngeo1857.

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