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東大、筋萎縮性側索硬化症の新たな原因遺伝子を発見

筋萎縮性側索硬化症の新たな原因遺伝子を発見・根本治療への手がかりを得る
―大規模な国際共同研究により実現―



 筋萎縮性側索硬化症(ALS)(※1)は、運動神経細胞が進行性に脱落していくことにより、発症してから3-5年で全身の筋肉が動かなくなる難病です。家族性ALS(※2)の一部を除いてはその原因が不明であり、現在に至るまで根本的な治療法は見つかっていません。
 このたび、東京大学医学部附属病院 神経内科教授 辻省次らの研究チームは、日本、カナダ,フィンランド,米国、豪州の研究者による国際共同研究により、ALSの新たな原因遺伝子としてERBB4遺伝子を発見しました。
 ERBB4遺伝子の変異が原因で発症するALS(ALS19と命名されました)は稀ですが、人種を越えて存在すること、孤発性ALS(※3)にも存在することを見出しました。さらに、ERBB4遺伝子によって作られる蛋白質はある種の神経栄養因子の受容体であり、その受容体の機能が低下していることが発症の原因になっていることを明らかにしました。
 本研究の結果は、これらの神経栄養因子により受容体を活性化することが、ALSの根本的な治療につながる可能性を示唆します。この成果は、従来の方法では疾患の原因となる遺伝子の発見が困難であった小規模な家系に、DNAの塩基配列を高速かつ大量に解析可能な次世代シーケンサーを用いて、全ゲノム解析を行うことで達成されたものです。本研究の成果は、American Journal of Human Geneticsに掲載されます(日本時間10月11日午前1時発表)。


【日時】 2013年10月9日(水)13時30分~14時30分
【発表者】東京大学医学部附属病院 神経内科 教授 辻 省次
     国立精神・神経医療研究センター・病院・神経内科 医長 高橋 祐二
【会場】 東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階 レセプションルーム


【研究の背景】
 筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は、運動神経細胞が進行性に脱落していくことにより、発症してから3-5年で全身の筋肉が動かなくなる難病です。ALSの5-10%が家族性、残りが孤発性と考えられています。家族性ALSの一部を除いてはその原因が不明であり、現在に至るまで根本的な治療法は発見されていません。ALSの原因を解明することは、根本的な治療につながる分子標的を発見できる可能性があります。


【研究の内容】
 ALSの原因遺伝子として知られている遺伝子には変異が見られない、家族性ALSの一家系において、連鎖解析(※4)と次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を組み合わせて、ALSの原因遺伝子ERBB4を新たに発見しました。国内外の多施設共同研究により、稀ではあるものの、ERBB4遺伝子の変異を有する家系が人種を越えて存在すること、孤発性ALSの中にも新生突然変異(両親に存在せず、本人に突然変異で新たに生じた変異)を有する例が存在することも明らかにしました。ERBB4遺伝子によって作られるErbB4蛋白質は受容体型チロシンリン酸化酵素であり、神経栄養因子であるニューレギュリン(NRG)に刺激されると自己リン酸化されることでその機能を発揮します。培養細胞に変異したERBB4遺伝子を導入した結果、ErbB4の自己リン酸化能の低下が認められ、ErbB4の機能低下がALSの原因となることが明らかになりました。この結果は、NRGのような神経栄養因子によりErbB4を活性化することが、ALSの根本的な治療につながる可能性を示唆します。


【用語解説】
 ※1 筋萎縮性側索硬化症:大脳・脳幹・脊髄の運動神経細胞が選択的に変性していくことにより、発症してから3-5年で全身の筋肉が動かなくなる神経難病です。人口あたりの頻度はおおよそ10万人中3-7人といわれており、現在日本では8千人程度の患者さんがいると推定されています。発症年齢は10代から80代と広範ですが、最も多いのが50代-60代であり、働き盛りの年齢であることから、社会的損失の大きな病気と言えます。

 ※2 家族性:その疾患を発症する人が家系内で複数見られることが多く、病気の発症機構に、単一の遺伝子の変異が影響していると考えられています。

 ※3 孤発性:その病気を発症する人が家族にいなくても散発的に現れます。病気の発症機構には、複数の遺伝的要因や環境要因が様々に関与していると考えられています。

 ※4 連鎖解析:疾患の原因となる遺伝子が染色体上のどの位置にあるかを特定する手法。複数の発症者が観察される家系について、ゲノム全体をカバーするように多型性を示す遺伝子マーカーを解析して、発症者において、疾患遺伝子とマーカー遺伝子がともに遺伝する(連鎖する)ことを利用し、疾患遺伝子の存在するゲノム上の領域を見つけ出します。


【発表雑誌】
 雑誌名:American Journal of Human Genetics
 論文名:Mutations in ERBB4 which disrupt the neuregulin-ErbB4 pathway cause amyotrophic lateral sclerosis type 19
 掲載日:日本時間10月11日(金)午前1時(米国東部夏時間:10月10日正午)、オンライン版に掲載

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