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東北大など、地下で発生するマグマがプレートの底に溜まることを実験的に解明

リソスフェア-アセノスフェア間に溜まるマグマ
(プレートの下ではマグマが渋滞!?)



【概要】
 坂巻竜 也助教・鈴木昭夫准教授・大谷栄治教授など東北大学大学院理学研究科の大谷栄治教授の研究グループは、米国シカゴ大学・カリフォルニア大学などの研究者と の共同研究として、兵庫県にある大型放射光施設SPring-8を利用し、地球深部条件を再現した高温高圧下におけるマグマの密度・粘性・構造を測定する ことで、地下で発生するマグマがリソスフェア(※1)(プレート)の底に溜まることを実験的に示しました。
 地球の表層部は地震学的な研究によっ て硬いリソスフェアと、その下にある軟らかいアセノスフェア(※2)に分類されています。また、様々な観測データからアセノスフェア上部にはマグマなどの 液体の存在が示唆されていましたが、どのようなメカニズムによってマグマが滞留しているのかはよく知られていませんでした。今回の実験では、マグマの駆動 力を知る上で重要な物性値である密度と粘性を測定することによって、各々の深さにおけるマグマの上昇速度を求め、リソスフェア直下で極端にマグマの上昇速 度が低下することを明らかにしました。つまり、アセノスフェアを上昇してきたマグマがリソスフェア中をなかなか進めないために、アセノスフェア上部でマグ マの渋滞が起こっていることを示唆しています。また、このような温度圧力条件でのマグマの性質の変化はマグマの構造変化によって引き起こされていることを 突き止めました。
 本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Geoscience」にて2013年10月27日の英国時間18:00に公開される予定です。

【研究の背景】
  地球は生きている惑星であり、世界各地でその証拠である火山噴火などの火成活動を観察することができます。それらの活動には岩石の溶融体であるマグマが密 接に関わっており、特に地球内部のような高温・高圧条件下でのマグマの挙動を理解することは、地球科学的に重要な研究ターゲットの1つであると言えます。
  地球内部において硬さという観点から硬いリソスフェアと軟らかいアセノスフェアに分類されています(図1)。また、アセノスフェアの最上部付近において地 震波低速度層の存在が報告されています。低速度異常をもたらす原因の1つとして、マグマなどの液体が滞留していることが挙げられます。

 ※図1は、添付の関連資料を参照

  一般的にマグマは周囲の岩石より軽いため、浮力を得ることができ、地上に噴出すると考えられています。しかしながら、地球内部のような高温高圧条件下にお いて岩石に比べてマグマは非常に縮みやすい性質を持つため、その挙動を正しく推測することは難しいとされています。つまり、マグマが浮き上がるのか、もし くは溜まるのかを明らかにするためには、実際に地球内部のような極限条件を再現して、実験を行う必要があります。さらに、地球の深部ではマグマの構造さえ も変化し、それが密度や粘性などの物性に影響している可能性があります。そこで本研究では、地球で最も普遍的に多量に存在する玄武岩マグマに着目して、マ グマの動きやすさを知る上で重要な物性値である“密度”と“粘性”を高温高圧条件下で測定しました。加えて、それらの物性に影響を及ぼしているマグマの “構造”についても測定を行いました。

【研究の成果】
 本研究で得られたマグマの密度と粘性から考えられるマグマの動きやすさを 示したものが図2(右図)になります。また、マグマの構造は、やはりこのマグマの性質が変化する深さで大きく変化することが明らかになりました。つまり、 このマグマの構造変化が原因でマグマの動きやすさが決められていることになります。これから地表から90km~150kmの深さでは、マグマが非常に動き やすく、上昇速度が速いことが分かります。反対に90kmより浅い部分では、地表に向かって上昇速度がどんどん遅くなっていることが示されています。リソ スフェアとアセノスフェアの境界の深さはおおよそ80kmですが、その深さの上下において上昇速度に大きな違いがあります。アセノスフェア領域ではマグマ が非常に動きやすく、効率的に上昇していくことが分かります。しかしながら、アセノスフェア最上部~リソスフェア下部においては下からのマグマの供給量に 比べて上への排出量が小さく、マグマの渋滞が発生する可能性が示唆されます。図2(左図)がリソスフェアとアセノスフェアの間に溜まるマグマを表したイ メージ図になります。このように溜まったマグマによって、地震学的に観測されている低速度異常がもたらされていると推定されます。

 ※図2は、添付の関連資料を参照

 掲載論文:“Ponded melt at the boundary between the lithosphere and asthenosphere”
        「リソスフェア-アセノスフェア間に溜まるマグマ」

  著者:Tatsuya Sakamaki,Akio Suzuki,Eiji Ohtani,Hidenori Terasaki,Satoru  Urakawa,Yoshinori Katayama,Ken-ichi Funakoshi,Yanbin Wang,John  W.Hernlund and Maxim D.Ballmer

 投稿誌:Nature Geiscience,doi:10.1038/ngeo1982(2013)


【用語の説明】
 1)リソスフェア:地殻とマントル最上部の硬い岩盤を併せた部分の総称。プレートと同じ。
 2)アセノスフェア:リソスフェアの下に位置し、相対的に軟らかい力学的性質を示す。そのため、硬いリソスフェアとは区分されている。
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