忍者ブログ

リリースコンテナ第3倉庫



Home > ブログ > > [PR] Home > ブログ > 未選択 > 東北大など、Li分析もできる電子顕微鏡用高エネルギー分解能軟X線分光器を開発

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

東北大など、Li分析もできる電子顕微鏡用高エネルギー分解能軟X線分光器を開発

Liの分析も可能な電子顕微鏡用高エネルギー分解能軟X線分光器の開発に成功



【ポイント】
 ・Li-K発光分析が可能。公称50eVから検出可能。
 ・高エネルギー分解能。金属AlのAl-Lスペクトルにおけるフェルミ端部(◆)で0.3eV分解能を保証。
 ・検出感度の向上。微量ホウ素など数10ppmが検出可能。
 ・スペクトルマップが収集可能。不等間隔溝回折格子(◆)の分光素子、CCDの検出カメラは固定されているため、素子のカバーする全分光領域のスペクトルを一度に測定可能。
 ・化学結合状態マッピングが可能。高エネルギー分解能であるため、従来の電子プローブマイクロアナライザー利用のルーチンで化学結合状態分析が可能。

【要旨】
  独立行政法人科学技術振興機構の産学共同シーズイノベーション化事業(育成ステージ)により、日本電子(株)、東北大学、(株)島津製作所および独立行政 法人日本原子力研究開発機構は、分光素子として電子顕微鏡用に最適な不等間隔溝回折格子を開発し、Liの分析も可能な高分解能軟X線分光器の開発に成功し ました。

【背景と経緯】
 東北大学寺内正己教授らは、平成16~18年度の期間で文部科学省経済活性化のための研究開発プロジェ クト(リーディングプロジェクト)によって汎用透過電子顕微鏡(◆)(TEM)に搭載できる高いエネルギー分解能を持った軟X線分光器を開発し、金属Al のAl-Lスペクトル観察において0.2eVの高いエネルギー分解能での観測に成功しました。この成果を受けて平成20~23年度の期間においてJSTの 産学共同シーズイノベーション化事業(育成ステージ)により、エネルギー範囲がより低い領域およびより高い領域においても分光可能で、また、TEMのみな らず電子プローブマイクロアナライザー(◆)(EPMA)や走査電子顕微鏡(◆)(SEM)にも搭載可能な、高エネルギー分解能軟X線分光器用の分光素子 として、収差も補正した不等間隔溝回折格子を開発しました。さらにこの開発した回折格子を分光素子とした、商用の高エネルギー分解能軟X線分光器を搭載し たEPMAおよびSEMを用いて、この分光器の利用範囲の拡大、特に工業的利用を目的としたアプリケーション開発を進めています。
 開発した分光 器は分光素子として不等間隔溝回折格子を採用しているため検出系に可動部分がなくなり、この素子のカバーする全分光領域のスペクトルを一度に計測できるば かりでなく、選定した走査領域の各点のスペクトルをスペクトルマップとして収集できるという大きな特長を持っています(図1)。この分光器のエネルギー分 解能は、EPMAに用いられている通常の波長分散型分光器(WDS)よりも1桁以上良好で、商用機としてもAl金属のAl-Lスペクトルにおいてフェルミ 端で0.3eVを保証しています(図2)。また、この分光器は50eVからの分光が可能で、通常使用されているWDSおよびエネルギー分散型分光器 (EDS)では不可能であるLi-K発光(54eV)の計測が可能です(図3)。
 この特長を利用すれば、Liイオン電池負極のLiの充・放電に 伴う挙動などを追跡することも可能で、Liイオン電池の開発・評価などに資する事が期待されます(図4)。高いエネルギー分解能を持つため、この分光器で 取得した特性X線のスペクトルは元素の化学結合状態を反映した形状を示します(図5)。このスペクトル形状の違いを利用すれば、化学結合状態の異なる同一 元素の分布をマップとして表示すること、化学状態マッピングができます(図6)。さらに、この分光器P/B比(◆)はWDSおよびEDSよりも良いので、 鉄鋼中の数10ppmの微量のホウ素や窒素などの検出、定量も可能となっています。
 これまで、Li-K、Be-K、B-K、C-K、N-K、 O-K、F-K、Mg-L、Al-L、Si-LおよびP-L発光スペクトルについて、かなりの観察例を収集してきました。今後、種々の金属、無機および高 分子材料、電子材料、電子デバイス、電池などの分野での応用が進展し、これまでのEDSあるいはWDSでは得られなかったような有用な知見に基づく物質、 材料の特性に関する基礎的理解に資するばかりでなく、特に化学結合状態がEPMA利用のルーチンで分析できる特性が実用的な材料の開発、評価、検査などへ の応用に利用されることが期待されます。

 なお、本開発の成果である軟X線分光器については、日本電子が製品化し、「国際二次電池展」(平成26年2月26日~28日、東京ビッグサイト)に出展する予定です。不等間隔溝回折格子については、島津製作所が供給します。
PR

Comment0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword