<要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、タブレットパソコンなど安価で一般的な端末で、計算負荷が高い3次元画像処理や大規模データの共有管理ができるクラウド[1]を利用した画像基盤システム「ICP(Image Communication Platform)」を開発、試験運用を2014年1月末から開始します。このシステムは、理研光量子工学研究領域(緑川克美領域長)画像情報処理研究チームの森田正彦テクニカルスタッフ、横田秀夫チームリーダー、情報基盤センターの姫野龍太郎センター長らの共同研究グループが開発しました。
本研究開発は、理研内分野横断研究促進を目的とした「戦略的研究展開事業」(研究代表者:中野明彦)の一環として行われ、12月4日(火)~6日(金)に愛媛県県民文化会館ひめぎんホールで開催される国際会議「1st International Workshop on BioImage Recognition」にて発表します(発表日時:12月5日 午後3時20分)。
一方、これまで理研では、画像データを処理・解析するための独自の画像処理システム「VCAT(Volume-Computer Aided Testing)」を開発してきました。VCATは、(1)測定対象物の特徴を保存しながら高速に画像を平滑化するノイズ除去フィルター、(2)ボリュームレンダリング[3]や任意の曲線断面による可視化、(3)注目する領域の自動抽出、(4)インタラクティブな操作による注目領域の抽出、(5)機械学習による画像分類、(6)力学シミュレーションモデルへの変換などの機能を備えています。また、直感的な操作が可能なユーザインタフェース「GUI(Graphical User Interface)」も備えているため、使い方も簡単です。
<研究手法と成果> 共同研究グループは、VCATをクラウドと呼ばれるネットワークを介した仕組みに拡張し、画像データの解析と共有管理ができる新しい画像基盤システム「ICP(Image Communication Platform)」を開発しました(図1)。ICPでは、画像処理としてVCATだけでなく、市販やオープンソースのソフトウェアも使用できます。また、最新のグラフィックスカードなど高性能なハードウェア群も含めてパッケージとして使用可能です。
本研究開発は、理研内分野横断研究促進を目的とした「戦略的研究展開事業」(研究代表者:中野明彦)の一環として行われ、12月4日(火)~6日(金)に愛媛県県民文化会館ひめぎんホールで開催される国際会議「1st International Workshop on BioImage Recognition」にて発表します(発表日時:12月5日 午後3時20分)。