2013/11/27 Category : 未選択 田中貴金属、シアン系めっき廃液を無害化して微量含有貴金属を回収することに成功 田中貴金属工業、シアン系めっき廃液を無害化して、微量含有貴金属を回収することに成功新しいシアン化合物分解処理技術の確立により、低コストでの廃液無害化と微量含有貴金属の回収を実現半導体部品などのめっき加工で発生する廃液を都市鉱山として有効活用 TANAKAホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岡本英彌)は、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岡本英彌)の湘南工場(神奈川県平塚市)が、シアン系めっき廃液を無害化した上で、廃液に微量に含まれる金や白金、パラジウムといった貴金属を回収できる技術(以下、本技術)の確立に成功したことを発表します。■低コストでの廃液無害化と微量含有貴金属の回収を実現 半導体部品などのめっき加工で発生するシアン系めっき廃液には、シアン化合物や無機炭酸塩の他に、貴金属をはじめとした有価金属が含まれています。一般的に、シアン系めっき廃液1m3中には、金が約0~3グラム、白金が約0~3グラム、パラジウムが約0~5グラム含まれている他、レアアース(希土類元素)などの様々な有価金属が微量に含まれています。 本技術では、従来方法の分解温度より低い温度域で、シアン系めっき廃液の濃縮物(スラッジ)を分解することにより、シアン化合物をシアンガスとしてスラッジから分離させ、分解残渣(ざんさ)から貴金属を回収することができます。本技術は、分解温度が低いため、低コストで廃液を処理できることに加え、溶融性塩である無機炭酸塩が炉内で溶融しないため、炉を腐食することがありません。また、分離されたシアンガスは、さらに燃焼することで、水と二酸化炭素および窒素に分解できるため、処理が容易です。■従来処理法での課題点 シアン化合物は強い毒性を有するとともに、半導体部品などのめっき加工で発生するシアン系めっき廃液におけるシアン化合物の濃度は、一般的に中~高濃度(※1)であるため、処理には万全を期す必要があります。現在、シアン系めっき廃液の処理を産業廃棄物業者に委託せずに自社内で処理する方法は、いくつかありますが、いずれも高コストであることや環境負荷が大きいといった問題点があります。 中~高濃度でシアン化合物を含有する廃液(中~高濃度シアン廃液)の処理方法としては、例えば、炉内噴霧法が知られています。炉内噴霧法は、1,000℃を超える高温の炉内に廃液を噴霧し、シアン化合物を分解する方法です。しかし炉内噴霧法は、高コストであることや、無機炭酸塩が溶融し、炉内に付着して炉を破損させること、有価金属を回収できないことなどの問題点があります。 また、低濃度(※2)のシアン廃液を処理する方法としては、廃液に水酸化ナトリウムを添加し、水素イオン濃度(pH)を10~11に調整しながら次亜塩素酸ナトリウムを加え、シアン化合物を窒素にまで分解するアルカリ塩素法という方法があります。しかし、アルカリ塩素法を用いて中~高濃度シアン廃液を無害化しようとすると、激しく発熱し、有毒ガスの大量発生を伴うため危険であること、処理に大量の薬品が必要になりコストが高くなることなどの問題点があります。また、廃液から有価金属を回収しようとすると、処理廃液と薬品との合計体積が大きくなり、有価金属の濃度が希薄になるため回収が困難となり、コストメリットが出ないといった問題点があります。 この他にも、中~高濃度シアン廃液の処理方法としては、高温高圧下で熱加水分解する方法や、オゾンガスの酸化力を利用するオゾン酸化法などが知られていますが、前者の方法はシアン化合物を十分に分解できない、後者の方法は高コストであるという問題点があります。■従来方法の課題点を克服 こうした課題点を解決するため、田中貴金属工業は、廃液のスラッジを従来方法に比べて低温で分解し、シアン化合物をシアンガスとして廃液から分離する工程を経ることにより、炉を腐食させることなく、低コストでシアンを無害化し、貴金属を回収できる技術を開発しました。本技術は以下のような特長を有しています。 ・従来方法の分解温度より低い温度域でスラッジを分解することにより、シアン化合物をシアンガスとして分離することができる。 ・分解温度が低いため、溶融性塩である無機炭酸塩が炉内で溶融せず、炉を腐食させることがない。 ・分解温度が低いため、低コストで処理できる。 ・シアン化合物が分離された分解残渣は、毒性が低いため、貴金属の回収が容易。 (貴金属以外の有価金属についても、必要に応じて回収可能) 田中貴金属工業では、今後も、廃棄物の削減や貴金属のリサイクルなどを推進し、環境に優しい製品づくりに取り組んでまいります。 *参考画像は、添付の関連資料を参照【参考資料】本技術を用いたシアン系めっき廃液の処理・回収の主な流れ *添付の関連資料を参照 ※1:中~高濃度 本件における中濃度とは、廃液中のシアン化合物の濃度が1リットルあたり100ミリグラム以上1,000ミリグラム未満であることを意味する。また高濃度とは、廃液中のシアン化合物の濃度が1リットルあたり1,000ミリグラム以上であることを意味する。 ※2:低濃度 本件における低濃度とは、シアン化合物の濃度が1リットルあたり100ミリグラム未満であることを意味する。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword