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日立など、高圧・高温下での蒸気と水の流れを3次元的に可視化するX線CTシステムを開発

3次元X線CTを用いて原子炉内と同等の高圧・高温下の蒸気と水の流れを可視化
沸騰水型原子炉の高性能燃料開発や熱流動現象解明に


 株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)と日立GEニュークリア・エナジー株式会社(取締役社長:武原 秀俊/以下、日立GE)は、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)の運転条件に相当する約70気圧、290℃という高圧・高温下での、蒸気と水の流れを3次元的に可視化するX線CT(Computed Tomography)システムを開発しました。本システムにより、燃料を最適に配置することで効率良く運転させることや燃料の冷却特性を詳細に把握することができ、BWRの経済性・信頼性をより一層向上させることが可能になります。

 原子力発電は、原子炉に装填した燃料内で核分裂が発生し、その際発生する熱を利用して発電します。BWRは、原子炉内を流れる水の一部が燃料内で発生した熱で沸騰して蒸気となり、その蒸気によりタービンを回す「熱水力現象」を用いて電気を発生させるシステムです。一方、水は核分裂で発生した高いエネルギーの中性子を、核分裂が起こりやすい低いエネルギーまで減速させる役割も果たしています。このように、BWRでは、原子炉内の熱水力現象と中性子の減速がお互いに影響を与えることから、原子炉内の蒸気と水の流れを、より詳細に把握することが重要となります。
 今回、日立と日立GEは、物体内部の欠陥や不純物の形状・密度分布を高精細かつ高速に撮影できる産業用X線CT技術を応用し、蒸気と水が共存する状態を3次元的に可視化するX線CTシステムを開発しました。今回開発した3次元X線CTシステムの特長は以下の通りです。

(1)蒸気と水の流れを3次元的に可視化するX線CTシステム
 日立が開発した産業用X線CTシステムを用いることで、X線管からの円錐状のX線ビームが利用できるようになり高さ方向の複数の断層像を一度の撮影で取得することが可能となりました。この技術を用いて、BWR内部の流動状態を模擬できる実験装置の配管内を流れる蒸気と水を測定するX線CTシステムを開発しました。配管に向かって設置したX線管と透過X線量検出器(FPD:Flat Panel Detector)を回転させて、配管の全周方向からのX線撮影を連続的に行うことで、直径250mm×高さ80mmの領域における蒸気割合(流体に含まれる気体の容積割合)を、0.3mmの細かさで3次元的に可視化することが可能です。

(2)沸騰水型原子炉内部と同じ流動条件で蒸気と水の特性を評価
 3次元X線CTシステムは、日立GEが所有する「多目的蒸気源試験設備(HUSTLE:Hitachi Utility Steam Test Leading facility)」の建物内に設置されています。3次元X線CTシステムのX線管とFPDの間を通るように配管を配置し、HUSTLEで生成した蒸気と水を配管に供給することで、低圧・低温の条件からBWRの運転条件(約70気圧、290℃)までの蒸気と水の状態を模擬することが可能です。また、高エネルギーのX線管を用いることで、約70気圧に耐えるために必要となる肉厚な配管を用いた試験であっても、その内部の流動特性を詳細に分析することが可能です。

 従来の2次元X線CTは、物体を縦・横の断面で撮影するため、3次元断層像を測定するためには高さ方向の位置を変更しながら撮影を繰り返し行うことが必要ですが、今回開発した3次元X線CTシステムは、一度に縦・横・高さの3次元断層像を撮影することができます。このため、3次元X線CTは、2次元X線CTと比べて約1/250にあたる30分で配管内の蒸気と水の流れの3次元断層像を撮影することが可能(*)になります。今後日立と日立GEは、燃料資源の利用効率をより一層高める次世代の高性能燃料開発において、主要な役割を果たす機器として活用してまいります。また、BWRの安全性・信頼性をより一層向上させるため、原子炉内の様々な熱流動現象のデータベース構築などの研究開発にも活用してまいります。

 日立グループは、今後とも、信頼性の高いモノづくりで二酸化炭素を排出しない環境負荷の小さいエネルギーの安定供給をサポートし、さらなる安全性の向上を図りながら原子力発電事業に貢献していく所存です。

 なお、本技術の詳細は、9月3日から5日まで八戸工業大学で開催される「日本原子力学会2013年秋の大会」にて発表する予定です。
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