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産総研、20nm幅の高性能なグラフェン微細配線を開発

20nm幅の高性能なグラフェン微細配線を開発
-LSI銅微細配線の代替に期待-


<ポイント>
 ・幅20nmの多層グラフェン配線を作製、微細化しても抵抗が大きくならないことを実証
 ・真空中250℃で10の7乗 A/cm2の電流を100時間以上流しても断線しない高信頼性
 ・最先端研究開発支援プログラム(FIRST)のプロジェクト「グリーン・ナノエレクトロニクスのコア技術開発」(中心研究者:横山 直樹)の助成による成果

<概要>
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)ナノエレクトロニクス研究部門(http://unit.aist.go.jp/neri/)【研究部門長 金丸 正剛】連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター【連携研究体長 横山 直樹】(以下「GNC」という)近藤 大雄 特定集中研究専門員、中野 美尚 特定集中研究専門員、佐藤 信太郎 特定集中研究専門員らは、二次元ナノカーボン材料である多層グラフェンを利用した20nm幅の微細配線を作製し、低抵抗、高信頼性を実証した。

 現在の大規模集積回路(LSI)では銅配線が用いられているが、配線の微細化を進めると、実効抵抗率が上昇したり、信頼性が低下したりすることが知られている。グラフェン配線は低い抵抗率と高い信頼性をもち、銅配線の代替として注目を集めている。しかし、グラフェン配線を数十nm幅にまで微細化しても、抵抗率などの性質を維持しているかどうかはこれまで不明であった。今回、化学気相合成(CVD)法により形成した多層グラフェンの層間に塩化鉄を入れるプロセス(インターカレーション)の最適化によりマイクロメートル幅のグラフェン配線として4.1μΩcmという低い抵抗率を達成した。さらに配線を電子線リソグラフィーにより幅20nmに細線化した。この微細配線の抵抗値は、細線化前の数マイクロメートル幅の配線とほとんど変わらず、また、真空中250℃で10の7乗 A/cm2の電流を100時間以上流しても断線せず、銅よりも高い信頼性を持つことが分かった。低消費電力化のためのLSI微細配線への応用が期待される。

 この技術の詳細は、2013年12月11~13日に米国メリーランド州ベセズダ市で開催される2013 International Semiconductor Device Research Symposium(ISDRS 2013)で発表される。

 ※参考画像は、添付の関連資料を参照


<開発の社会的背景>
 携帯情報端末の普及やIT機器の高機能化に伴って消費電力が増大しており、電子情報機器の消費電力低減が求められている。LSIはこれまで、微細化により低消費電力化を図ってきたが、微細化の限界が近づくとともに、さまざまな弊害が指摘されている。最先端LSIの微細配線には銅が使用されているが、配線の微細化に伴い電流密度が高くなるとともにエレクトロマイグレーション耐性も低くなるため、信頼性の低下が指摘されている。さらに、微細化に伴い、結晶粒境界や表面での電子の散乱や、薄膜化に限界があるバリアメタルにより、銅配線の実効抵抗率が上昇しつつある。そのため、銅に代わる微細配線の材料が求められている。グラフェンは、マイクロメートルサイズ幅の配線では低抵抗や高信頼性を示すためLSIの配線材料として期待されている。


<研究の経緯>
 GNCは、内閣府と独立行政法人 日本学術振興会によって運営される最先端研究開発支援プログラム(FIRST)に採択されたプロジェクトを実施するために2010年4月に設立された。企業5社(富士通株式会社、株式会社東芝、株式会社日立製作所、ルネサスエレクトロニクス株式会社、株式会社アルバック)からの出向研究者と産総研研究者によって構成されている。

 GNCでは平成23年度より、従来のLSIの消費電力を10分の1~100分の1に低減することを目標に、グラフェン、カーボンナノチューブを配線やトランジスタへ応用するための研究に取り組んできた。多層グラフェンを用いた微細配線作成技術についても開発してきた(2013年6月17日産総研プレス発表(http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20130617/pr20130617.html))が、配線幅を数十nm程度まで微細化することは行っていなかった。

 この研究開発は、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)のプロジェクト「グリーン・ナノエレクトロニクスのコア技術開発」(中心研究者:横山 直樹)の助成により行われた。


<研究の内容>
 今回、多層グラフェンは、サファイア基板上にエピタキシャルコバルト薄膜を形成し、その上にCVD法を用いて合成した7-15層の高品質なものを用いた。原料はメタンをアルゴンと水素で希釈したガスで、合成温度は約1,000℃である。この多層グラフェンを別の基板に転写し、幅が4~20μm、厚さが2~5nm程度のテスト配線を作製した(図1a)。グラフェン配線の抵抗率の分布を図1bに示す。さらに、塩化鉄を層間に入れるインターカレーション技術の条件を最適化したところ、最も低い抵抗率は、従来より低い4.1μΩcmを達成した。これは銅配線の抵抗率に近い。

 ※図1は、添付の関連資料を参照


 次に、この配線を電子線リソグラフィー装置で細線化した。図2に、微細配線の模式図と、20nm幅の配線のSEM像を示す。図3に、20nm幅への細線化前後での抵抗率の変化を示す。配線長が長いと1桁程度抵抗が大きくなったが、配線長が4μmの場合、抵抗はほとんど変化しなかった。

 ※図2・3は、添付の関連資料を参照


 続いて、真空中250℃で10の7乗 A/cm2の電流を流して、20nm幅のグラフェン配線の信頼性を評価した。グラフェン配線は110時間電流を流しても断線せず(図4)、160nm幅の銅配線よりも高い信頼性を示した。また、信頼性評価中に抵抗はほとんど変化せず、インターカレーションされている塩化鉄がこのような環境下でも脱離しないことが分かった。

 ※図4は、添付の関連資料を参照


<今後の予定>
 今回の研究で得られた微細幅の多層グラフェン配線は、LSI配線への適用が期待される。今後、10nm以下の幅の多層グラフェン配線についても低抵抗・高信頼性を実証するとともに、多層グラフェンやカーボンナノチューブを利用した3次元配線を開発し、配線幅が10nm程度まで微細化される2020年頃にLSIへの適用を目指す。


<用語の説明>

 ※添付の関連資料を参照


<関連情報一覧>
 http://www.aist.go.jp/db_j/list/relation.php?&co=14581

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