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生理学研究所など、ウイルス感染生活史の全容を解明

はじめて明かされたウイルス感染生活史の全容:位相差電子顕微鏡の金字塔



<内容>
 電子顕微鏡の一技術として、急速凍結法が近年開発され、氷に封じられた細胞やウイルスを生状態で観察できるようになった。ホルマリン漬けにしたり、重金属で染色したりする破壊的試料作成法を避ける画期的手法であるが、像のコントラストが弱く微小形態の特定が困難であった。この問題は生理研の永山教授らが開発した位相電子顕微鏡法により解決され、共同研究者のWah Chiu教授率いるベイラー医科大のグループにより、地球上炭酸ガス固定の主役シアノバクテリア中でのウイルスの立体構造形成の解明に応用された(図1)。感染初期にまずウイルスの外殻ができ、次にDNAゲノムがその中に封入され、最後に角や尾が出来る形作りの過程(図2)が明らかにされ、ウイルス感染の生活史モデルが提出された(図3)。

 無染色で透明な生きた細胞の微細観察を最初に可能としたのは、光学顕微鏡の位相差法で、オランダのFritz Zernikeにより発明され1953年のノーベル物理学賞に輝いた。同じ方法を電子顕微鏡に応用する試みは50年以上続けられてきたが、その成功は21世紀になりはじめて生理研永山教授のグループにより達せられた。鍵となったのは、位相差法の心臓部である薄い炭素膜でできた位相板の帯電防止法の確立だった。今回のウイルス感染生活史研究はこの位相差電子顕微鏡が医学生物学研究に真に役立つ強力な方法であることを実証する金字塔といえる。

 永山教授は「今回の研究で、10年来地道に続けてきた位相差電子顕微鏡の開発研究が医学、生物学分野で正しく評価されることを期待している。」と話しています。

 本研究は国際共同研究として行われました。参照:(https://www.bcm.edu/news/biochemistry-and-molecular-biology/tecnique-sharpens-view-of-phage-assembly

<今回の発見>
 1.シアノバクテリア内のウイルス感染生活史は地球上炭酸ガス固定の主役シアノバクテリアの生態系を明らかにする。
 2.今回のウイルス感染生活史全容解明と同等のことがヒト細胞で可能となれば、ウイルス感染対策の前進が期待される。
 3.位相差電子顕微鏡が医学生物学研究の最先端を切り拓く有力な方法であることが実証された。

 ※図1~図3は、添付の関連資料を参照

<この研究の社会的意義>
 地球上炭酸ガス固定の主役シナノバクテリアのウイルス感染生活史解明を通じ、CO2問題の解決につながる期待および位相差電子顕微鏡法によりヒトウイルス感染の詳細が解明され、予防や治療につながる期待がある。

<論文情報>
 Visualizing virus assembly intermediates inside marine cyanobacteria.
 Wei Dai,Caroline Fu,Desislava Raytcheva,John Flanagan,Htet A.Khant,Xiangan Liu,Ryan H.Rochat,Cameron Hasse-Pettingell,Jacqueline Piret,Steve J.Ludtke,Kuniaki Nagayama,Michael F.Schimid,Jonathan A.King&Wah Chiu.
 Nature.2013年10月31日号
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