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NTT、10GbpsワイヤレートのSDN対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプ開発に成功

-世界最高性能を持つSDN対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプ開発に成功-
~10Gbpsワイヤレートの高速パケット処理を実現~



 日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫)は、総務省の委託研究「ネットワーク仮想化技術の研究開発」において、世界最高性能を持つSDN(※1)対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプ開発に成功しました。
 本プロトタイプでは、データセンタなどの企業独自のネットワークへの導入が始まっているSDNを、通信事業者やインターネットなど広域ネットワークに適用するために必要な要素技術として、大規模フローテーブル設定時においても、高速パケット処理を可能とするSDN対応ソフトウェアスイッチを実装しました。
 10万行のフローテーブルを設定した場合において、パケットヘッダの書き換えを行いながら10Gbpsのワイヤレートの転送速度(ロングパケット転送時)を達成する高速パケット処理を実現しており、これはSDNソフトウェアスイッチとして世界最高性能レベルとなります。
 今後、さらに大規模のフローテーブルに対応することで、これまではデータセンタ内に留まっていたSDNソフトウェアスイッチの広域ネットワークのエッジへの展開が可能となり、ネットワークの新サービスや新プロトコルが早期に実現できます。
 なお、本プロトタイプは、2013年12月12日~13日に沖縄県市町村自治会館にて開催される「Okinawa Open Days 2013」(http://www.e-side.co.jp/opendays/2013/)にてご紹介いたします。

1.背景
 昨今の技術の進展により、汎用サーバにおいてCPU・バス・ネットワークカードなどの各構成品の性能が向上しており、従来は高い性能が求められることから専用チップを用いてハードウェア中心の実装を行う必要があったネットワーク装置でも、性能要件が合致するものなどについては、汎用サーバを用いてソフトウェアを中心とした実装が現実的となってきています。
 また、ソフトウェアを中心にネットワーク装置の実装を行った場合、新サービスや新プロトコルへの早期対応が行いやすく、機能追加が容易に行える利点もあることから、ソフトウェア化されたネットワーク機能を活用するNFV(※2)の研究開発も盛んになっています。
 一方、ネットワークのきめ細やかな制御を素早く行うことが可能なSDNの適用先を、従来のデータセンタなどだけではなく、広域ネットワークにも拡大する機運も高まっています。
 こうしたことから、広域ネットワークに適用可能な、10万行以上の大規模フローテーブルに対応し、10Gbps以上の高速パケット処理が可能なSDNソフトウェアスイッチが求められています。

2.SDNソフトウェアスイッチにおける課題
 従来、SDNソフトウェアスイッチは、以下のような課題を抱えており、フローテーブルを大規模にすると著しく速度低下することから、現実的な運用としてはこれまでは数千フローテーブルの設定で、数Gbpsのパケット処理が可能という性能が限界でした。このため適用領域がデータセンタ内に限定され、広域ネットワーク領域への適用には新たな研究開発が必要でした。

(1)シングルスレッド、シングルCPUの処理による高速化の限界
 従来は、スングルスレッド、シングルCPUでの単純な実装となっていました。最近の汎用サーバでは、マルチCPUの実装が行われており、かつCPU自体もマルチコア化しているので、積極的に並列化を行い、高速化に対応することが求められています。しかし並列化に伴い、パケットの順序逆転による通信への悪影響を解消する工夫が必要でした。

(2)複雑なテーブル検索による大規模フローテーブル設定時の処理時間の増大
 SDNの仕様上、フローテーブルの検索を行う場合にパケットの中の0,1の情報の並びのうち、0,1のどちらかだけではなく、どちらでも良い(ドントケア)ものが存在します。また、同様に仕様上パイプラインで処理をすることが求められる場合もあります。こうしたことなどから、数十万行以上の大規模フローテーブルが設定された場合には、処理時間が増大し、高速パケット処理が困難でした。

3.研究の成果
 現在、NTT未来ねっと研究所(神奈川県横須賀市)は、総務省の「ネットワーク仮想化技術の研究開発」として委託された2016年までの研究開発プロジェクト(O3プロジェクト(※3))の中でSDNソフトウェア通信装置の研究開発に取り組んでいます。
 最初の成果として、ネットワーク間接続に使用する際に十分な10万行のフローテーブルを設定した場合において、10Gbpsのワイヤレート(ロングパケット転送時)を達成する、SDNソフトウェアスイッチとして世界最高性能のSDN対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプ開発に成功しました。
 同研究所は、将来ネットワークのあるべき姿についての幅広い研究を通じ、これまで培ったネットワーク装置での高速処理技術の強みを生かし、広域ネットワークへの適用の際に求められる大規模フローテーブルを設定した場合においても、高速なパケット転送が可能なSDNソフトウェアスイッチの実現を目指し、その基本性能を確認しました。
 また、今後このプロトタイプ上にネットワークの付加価値を高める各種モジュールを実装することで、ソフトウェア実装の通信機器を開発するためのプラットフォームとしての利用も可能となります。
 なお、本プロトタイプの目指す領域と対象となる範囲は別紙1のとおりです。

4.技術のポイント
 本プロトタイプにおいては、別紙2に示すFlexible parallel Flow processing Framework(fff)を採用することにより、高速なパケット処理が可能となりました。通常ソフトウェアで処理性能を求めると、カーネル空間の実装となりますが、最新のカーネルへの追随が必要になるなど、維持管理が難しくなります。このため、ユーザ空間における実装を採用し、それでも十分な性能が得られるように処理の並列化を行っています。
 また、2項における課題に対しては以下のとおり対処のうえ解決しました。

(1)マルチスレッド対応による高速化
 最初にフローを識別し、次に並列化されたパイプラインでパケットの処理を行うことで、高速化を実現しました。フローの識別においては、パケットの順序逆転が起きないように、各パイプラインへの振り分けを行い、マルチスレッド対応としました。

(2)fff検索アルゴリズムによる、大規模フローテーブル検索の高速化
 各パイプラインの中では、SDNで求められる、ドントケアを許容し、複雑な検索条件にも対応可能なフローテーブル探索のために、新たなアルゴリズムを考案しました。この検索アルゴリズムを採用することによって、大規模フローテーブルを設定した場合においても、著しい速度低下を起こさずに、高速な検索が可能となりました。
 さらに、メモリアクセスの回数を低減するために、キャッシュメモリのヒット率を高めるよう実装上の工夫を行いました。

5.今後の予定
 データセンタから広域ネットワークへの応用を想定し、さらに大容量のフローに対応できるような拡張を図り、さらなる高速化を目指すための研究開発を進めます。また、各種プロトコルへの対応、高信頼化機能および管理機能の研究開発を進め、信頼性・運用性を高める予定です。今後、本研究成果を展開し、ネットワーク高度化に貢献していきます。

<用語解説>
 ※1:Software Defined Networkingの略。ソフトウェアにより機能や構成を定義・制御することが可能なネットワークのこと。
 ※2:Network Functions Virtualisationの略。ネットワーク機能をソフトウェアで仮想化して実装した仕組みのこと。
 ※3:O3(オースリー)は、本プロトタイプを含む委託研究プロジェクトの全体コンセプトである「Open:オープン性」「Organic:有機的」「Optima:最適化」を表しています。
 本委託研究プロジェクトには日本電気株式会社、日本電信電話株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社、富士通株式会社、株式会社日立製作所の5社が参画しています。
 O3プロジェクトは、2016年3月末までに、研究開発成果の実用化を目指し、本研究成果のグローバルな普及や、標準化を推進していきます。特に、2013年度中にホームページなどにより情報公開を開始、2014年度中には成果の一部をオープン化し、国内外の通信事業者・サービスプロバイダ・ベンダへの提供を目指します。

<商標について>
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